Nikon Zfの購入を検討する際、そのクラシックなデザインと共に「Nikon Zf 重さ」は非常に気になる点ではないでしょうか。「本体重量はどのくらい?」といった基本的なスペックはもちろん、Zfと他のZシリーズ機種の重さ比較も知りたいところです。
また、フルサイズ機としての軽さは魅力か、それともある程度の重さが必要か、判断に迷うかもしれません。この記事では、Nikon Zfの重さに関する疑問に答えるため、ボディの素材と重量バランスの特徴を詳しく解説します。さらに、Nikon Zfとフィルムカメラの重さ比較や、長時間撮影時の疲れにくさを検証し、最適な軽量レンズの選び方にも触れます。
持ち運びやすさと撮影スタイルの関係を考察しながら、旅行や街歩きに適したカメラ重量とは何か、そして軽量カメラを選ぶときのポイントまで、幅広く掘り下げていきます。
この記事を読むことで、以下の点について理解が深まります。
- Nikon Zfの正確な重量スペックとボディの材質
- 他のZシリーズやフィルムカメラとの具体的な重量差
- 重さが撮影時の疲労や持ち運びにどう影響するか
- Zfの重さに最適なレンズ選びのヒント
Nikon Zf 重さのスペックと他機種比較
- 本体重量はどのくらい?
- ボディの素材と重量バランスの特徴
- Zfと他のZシリーズ機種の重さ比較
- Nikon Zfとフィルムカメラの重さ比較
- フルサイズ機としての軽さは魅力か?
本体重量はどのくらい?

Nikon Zfの重量を考える上で、まず押さえておくべき基本的な数値が2つあります。それは「本体のみの重量」と「撮影時の実使用重量」です。
Nikonの公式仕様によると、Zfの重量は以下の通りです。
- 約710g: バッテリー(EN-EL15c)およびメモリーカード1枚を含む、CIPA準拠のいわゆる「実使用重量」です。
- 約630g: バッテリーやメモリーカード、ボディキャップなどを除いた「本体のみ」の重量となります。
カメラ選びで参考にするべきは、実際に持ち出して撮影する状態に近い「約710g」という数値です。この710gという重さが、Zfの立ち位置を明確に示しています。
レトロな外観から、もっと軽いカメラを想像する方もいるかもしれませんが、ZfはNikonのフルサイズミラーレス機として、しっかりとした「重さ」を持っていることが分かります。
ボディの素材と重量バランスの特徴

Nikon Zfの約710gという重量は、意図的な設計の結果です。その大きな要因の一つが、ボディに使用されている素材にあります。
Zfは、ボディのトップカバーとフロントカバーにマグネシウム合金を採用しています。これは、一般的なエンジニアリングプラスチックと比較して、剛性(頑丈さ)や耐久性、放熱性に優れる素材です。
この素材選定には、2つの側面があります。
メリット:堅牢性と所有感
マグネシウム合金の採用は、撮影機材としての信頼性を高めます。万が一の軽い衝撃にも耐えうる堅牢性は、安心して撮影に集中できる環境を提供します。また、金属特有のひんやりとした感触と適度な質量は、往年のフィルムカメラが持っていた「道具としての所有感」や「高級感」を演出する上で欠かせない要素です。
デメリット:軽量化とのトレードオフ
一方で、マグネシウム合金はプラスチックよりも重くなります。Zfは「絶対的な軽さ」を追求するのではなく、フルサイズ機にふさわしい堅牢性と質感を選ぶという設計思想に立っています。
また、Zfはフルサイズセンサーと、それを動かす強力な5軸手ブレ補正(VR)機構、さらにNikonのフルサイズZ機で初となるバリアングル液晶モニターを搭載しています。これらの高性能な内部コンポーネントも、630g(本体のみ)という質量に貢献しています。
Zfと他のZシリーズ機種の重さ比較
Nikon Zfの710gという重さが、Zマウントシステム全体の中でどのような位置づけにあるのか、他の主要モデルと比較してみましょう。
| モデル名 | センサーサイズ | 実使用重量(バッテリー・カード込) | 筐体素材(主要部) |
| Nikon Zf | フルサイズ | 約 710g | マグネシウム合金 |
| Nikon Z 8 | フルサイズ | 約 910g | マグネシウム合金 |
| Nikon Z 7II | フルサイズ | 約 705g | マグネシウム合金 |
| Nikon Z 6II | フルサイズ | 約 705g | マグネシウム合金 |
| Nikon Z 5 | フルサイズ | 約 675g | マグネシウム合金 |
| Nikon Z fc | APS-C | 約 445g | (言及なし) |
(※重量はCIPA準拠)
この比較表から、いくつかの興味深い事実が浮かび上がります。

Z 6II / Z 7II とほぼ同等の重量
Zf(710g)は、Nikonの中核をなすスタンダードモデルZ 6II(705g)や高画素モデルZ 7II(705g)と、重量がわずか5gしか変わりません。これは実質的に「同じ重さ」と言えます。
この事実は、Zfが単なるレトロ調のカメラではなく、Z 6II/Z 7IIクラスと同等の堅牢なボディと内部機構を持つ、本格的な撮影機材として設計されていることを示しています。
APS-C機 Z fc とは決定的な差
デザインコンセプトを共有するAPS-C(DXフォーマット)の兄弟機、Z fc(445g)と比較すると、Zf(710g)は約265gも重くなります。これは質量比で約1.6倍です。
この差は、センサーサイズの違い(フルサイズ vs APS-C)だけでなく、ボディの堅牢性、手ブレ補正機構の有無、バッテリー容量の違いなどが積み重なった結果です。「Z fcのデザインでフルサイズが欲しい」と考える場合、この約1.6倍の質量を受け入れる必要があります。
Nikon Zfとフィルムカメラの重さ比較

Nikon Zfのデザインは、Nikonの歴史的な名機であるフィルム一眼レフ「FM2」に強くインスパイアされています。では、その重さにはどの程度の違いがあるのでしょうか。
- Nikon Zf(実使用重量): 約 710g
- Nikon FM2(本体のみ): 約 540g
数値だけを見ると、Zfの方がFM2よりも約170g重いことになります。
ただし、この比較には注意が必要です。Zfの710gは、撮影に必須のバッテリーを含んだ「実使用重量」です。一方、FM2は機械式のフィルムカメラであり、露出計用のボタン電池(数グラム)を除けば、バッテリーなしで動作します。
現代のデジタルカメラであるZfは、フルサイズセンサー、画像処理エンジン、5軸手ブレ補正ユニット、大容量バッテリー、液晶モニターといった、フィルムカメラには存在しなかった重厚な電子部品を数多く内蔵しています。
これらの高機能なコンポーネントを搭載し、さらに堅牢なマグネシウム合金ボディを採用しながら、往年の名機FM2(本体)との重量差を170g程度に抑えている、と捉えることもできます。Zfの重さは、現代の技術とクラシックな質感を両立させた結果と言えるでしょう。
フルサイズ機としての軽さは魅力か?
Nikon Zfの重さ(約710g)は、「フルサイズ機として軽いか?」と問われると、答えは「標準的、あるいはやや重厚な部類」となります。
前述の通り、ZfはスタンダードモデルのZ 6II(705g)とほぼ同じ重さであり、エントリーモデルのZ 5(675g)よりも35g重いのです。
もし、フルサイズ機に「絶対的な軽さ」を求めるのであれば、Zfは最適な選択肢ではないかもしれません。例えば、他社には600gを切る、あるいは500g台のフルサイズミラーレス機も存在します。
しかし、Zfの魅力は単純な軽さではありません。Zfが提供するのは、「マグネシウム合金の堅牢性」と「所有感を満たす適度な質量」、そして「強力な手ブレ補正」といった付加価値を含んだ上での710gです。
単に軽いカメラが欲しいのではなく、「信頼できる道具として、愛着を持って長く使えるフルサイズ機」を求めるユーザーにとって、この710gは「魅力的な重さ」として受け入れられる可能性が高いです。
Nikon Zf 重さが及ぼす撮影体験への影響

- 長時間撮影時の疲れにくさを検証
- 最適な軽量レンズとの組み合わせ
- 持ち運びやすさと撮影スタイルの関係
- 旅行や街歩きに適したカメラ重量とは
- 軽量カメラを選ぶときのポイント
- 総評:Nikon Zf 重さの最終判断
長時間撮影時の疲れにくさを検証
Nikon Zfの重さ(約710g)が撮影時の疲労にどう影響するかは、スペック上の数値以上に重要なポイントです。そして、この「体感重量」には、Zfのボディ形状が大きく関係しています。
グリップ形状と体感重量
Zfは、クラシックなデザインを優先し、薄くフラットなボディ形状を採用しています。現代の多くのミラーレスカメラ(例えばZ 6IIなど)が採用している、深くて手に吸い付くようなエルゴノミック・グリップを持っていません。
Z 6IIもZfとほぼ同じ約705gですが、深いグリップがあるため、カメラの重さを手のひら全体で分散して支えることができます。
一方、Zfはフラットな形状のため、主に指先でカメラを「掴む」形になります。同じ710gでも、Z 6IIのように深いグリップで持つ場合と比較して、手首や指にかかる負担が大きくなりやすく、「スペック以上に重く感じる」可能性があります。
長時間撮影への影響
このため、特に重いレンズを装着した場合や、一日中手持ちで撮影を続けるようなシーンでは、Z 6IIなどの深いグリップを持つカメラに比べて、疲労を感じやすくなることが予想されます。
ただし、Zfには別売りのエクステンショングリップ(Zf-GR1)が用意されており、これを装着することでホールディング(握りやすさ)を大幅に改善することが可能です。長時間の撮影がメインとなる場合は、このグリップの導入を検討するのが賢明でしょう。
最適な軽量レンズとの組み合わせ

Nikon Zfの体感重量と使いやすさは、組み合わせるレンズによって劇的に変わります。Zfのフラットなボディデザインを活かすには、レンズ選びが非常に大切です。
推奨される組み合わせ:小型単焦点レンズ
Zfの設計思想に最もマッチするのは、小型・軽量な単焦点レンズです。例えば、「NIKKOR Z 28mm f/2.8」や「NIKKOR Z 40mm f/2」といったレンズ(重量約150g〜170g)との組み合わせです。
これらのレンズと組み合わせた場合、システム全体の総重量は約860g〜880g程度に収まります。このバランスであれば、Zfのフラットなボディでも快適に保持でき、スナップ撮影などで軽快に扱えます。このシナリオにおいて、Zfの710gのボディは、システム全体を安定させる「カウンターウェイト(重り)」として良好に機能します。
注意が必要な組み合わせ:大型ズームレンズ
対照的に、「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」(約805g)や「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S」(約1360g)といった、いわゆる「大三元」と呼ばれる高性能な大型ズームレンズを装着する場合です。
これらのレンズは単体でZfボディよりも重く、総重量は1.5kgから2kgを超えます。Zfのグリップレスな設計では、この重量を右手だけで安定して支えるのは困難です。必然的に左手でレンズを支えることになりますが、カメラ本体の保持が不安定になり、極端に「フロントヘビー(前が重い)」なバランスに悩まされることになります。
Zfで大型レンズを常用することは、Zfが持つ本来の魅力を損ねてしまう可能性があるため、注意が必要です。

持ち運びやすさと撮影スタイルの関係
Nikon Zfの約710gという重さとフラットな形状は、持ち運び方や撮影スタイルによって、その評価が分かれます。
スナップシューターや日常使い
小型単焦点レンズと組み合わせ、カメラストラップで首や肩から下げて街を歩くようなスタイル(スナップシューター)の場合、Zfのデザインと適度な重量は魅力的に映るでしょう。カメラバッグに収納する際も、ボディが薄いため、深いグリップを持つカメラよりも収まりが良い場合があります。
このスタイルでは、Zfの710gは「安定感」として機能します。軽すぎるカメラ(例えばZ fcの445g)は、歩行時の振動やシャッターを押す際の微細なブレの影響を受けやすいですが、Zfの適度な質量(イナーシャ=慣性)は、カメラ自体を安定させる「錘(おもり)」として働き、特にスローシャッター時の手ブレ抑制に貢献します。
本格的な撮影や長時間の携行
一方、複数の大型レンズをカメラバッグに詰め、山登りや長時間のイベント取材など、機材の総重量と疲労軽減が最優先される撮影スタイルでは、Zfの「グリップレスな710g」はデメリットになる可能性があります。
前述の通り、Zfは大型レンズとのバランスが悪く、また長時間の保持で疲れやすいためです。このような撮影がメインであれば、Z 6IIやZ 8など、実用的なエルゴノミクス(人間工学)を優先したモデルの方が、持ち運びや操作の負担は少なくなるでしょう。
旅行や街歩きに適したカメラ重量とは
旅行や街歩き(スナップ撮影)に持ち出すカメラとして、Nikon Zfの重さ(約710g)が適しているかどうかは、個人の体力や許容範囲に大きく左右されます。
一般的に、旅行や街歩きで一日中持ち歩くことを想定した場合、カメラシステムの総重量は1kg前後までが「快適」と感じられる一つの目安とされます。
Zfは「快適」の範囲内か?
Nikon Zf(710g)に、前述の軽量単焦点レンズ「NIKKOR Z 40mm f/2」(約170g)を組み合わせた場合、総重量は約880gとなります。
この880gという重さは、多くの人にとって「一日中持ち歩いても苦にならない」範囲に収まる可能性が高いです。フルサイズセンサーがもたらす高画質と、Zfが持つ所有感を楽しみながら、旅行や街歩きを快適に行える絶妙なバランスと言えます。
もちろん、これを「重い」と感じる方もいます。その場合は、より軽量なAPS-C機のZ fc(システム総重量で約600g程度)や、他社のさらに軽量なフルサイズ機が選択肢になります。Zfは、画質や質感を犠牲にしてまで軽さを追求するカメラではない、ということを理解しておく必要があります。
軽量カメラを選ぶときのポイント

カメラ選びにおいて「軽さ」を重視する場合、単にボディ本体のスペック上の重量だけを見て判断するのは早計です。Nikon Zfの重さを基準に、軽量カメラを選ぶ際に考慮すべきポイントを整理します。
1. システム全体の重量で考える
最も大切なのは、ボディ単体ではなく、「実際に使用するレンズを装着した状態での総重量」で考えることです。
たとえボディが600gと軽量でも、装着するレンズが800gであれば、総重量は1.4kgになります。一方で、ボディがZfのように710gでも、170gの軽量レンズと組み合わせれば総重量は880gです。日常的な持ち運びやすさでは、後者の方が優れているかもしれません。
2. 軽さと機能のトレードオフを理解する
カメラの重量は、機能や性能と密接に関連しています。
- 手ブレ補正: 強力なボディ内手ブレ補正機構は、ユニット自体が重いため、搭載機は重くなる傾向があります。Zfはこれを搭載していますが、Z fcは搭載していません。
- バッテリー容量: バッテリーが大きければ撮影可能枚数は増えますが、その分重くなります。
- 堅牢性: マグネシウム合金などの金属ボディは安心感がありますが、プラスチックボディより重くなります。
何を優先し、何を妥協するのか(例:重くても手ブレ補正が欲しい、堅牢性より軽さが欲しい、など)を明確にすることが、カメラ選びの失敗を減らす鍵となります。
3. ホールディング(握りやすさ)を試す
前述の通り、ZfとZ 6IIはほぼ同じ重さですが、グリップ形状の違いから「体感重量」は大きく異なります。スペック上の数値が軽くても、自分の手に合わないグリップのカメラは、実際よりも重く感じ、疲れやすいものです。
これは個人の手の大きさや握力によって感覚が全く異なるため、必ず店頭などで実機を手に取り、特に自分がよく使うであろうレンズを装着した状態でのバランスを確認することを推奨します。

総評:Nikon Zf 重さの最終判断
Nikon Zfの重さに関する情報を多角的に分析した結果、その特徴と最適なユーザー層について、以下の15のポイントにまとめることができます。
- Nikon Zfの実使用重量は約710g(バッテリー、カード込み)
- 本体のみの重量は約630g
- この重さはレトロな外観から想像するよりも重厚である
- 重さの理由はマグネシウム合金ボディの採用にある
- 堅牢性や高級感を追求した結果、絶対的な軽さとはトレードオフの関係にある
- 強力な5軸手ブレ補正やバリアングルモニターの搭載も重量に影響している
- スタンダード機Z 6II/Z 7II(約705g)と実質的に同じ重量クラス
- エントリー機Z 5(675g)よりもZfは重い
- APS-Cの兄弟機Z fc(445g)と比較すると約1.6倍重く、全くの別物
- フラットなボディ形状のため、Z 6IIよりも体感重量は重く感じやすい
- 長時間の撮影では疲労を感じる可能性があり、別売りグリップが有効
- Zfの重さは小型単焦点レンズ(40mm f/2など)との相性が最も良い
- 大型ズームレンズとの組み合わせはフロントヘビーになり推奨しにくい
- 適度な質量はスローシャッター時の安定性向上に寄与する
- Zfの710gは「軽さ」ではなく「質感と性能のバランス」を求める人に適した重さ


