サムスンとサンディスクのSDカード比較で迷っていませんか。両ブランドのSDカードにはそれぞれ異なる特徴があり、どちらを選べば良いか悩むのは当然です。読み込み速度と書き込み速度の違いを理解し、4K動画撮影におすすめのSDカードや、ゲーム機・Switchで使うSDカードの最適な選択をしたいと考える方は多いでしょう。
また、スマホとの相性と動作保証、長期保存と耐久性の比較も気になるところです。この記事では、購入時に確認すべき規格と容量の解説から、コスパ重視の選び方、そして意外と見落としがちな偽造品の見分け方と注意点まで、あなたの疑問に網羅的にお答えします。サムスンSDカードの特徴とサンディスクSDカードの特徴を徹底的に分析し、後悔しないための最適な一枚を見つけるお手伝いをします。
- 両ブランドの製品ラインナップと性能の明確な違い
- 4K動画やゲームなど用途に合わせた最適なカード
- 耐久性や保証内容を含めた長期的な価値
- コストを抑えつつ失敗しない選び方のコツ
サムスンとサンディスクのSDカード比較【基本性能編】
- サムスンSDカードの特徴と製品ライン
- サンディスクSDカードの特徴と製品群
- 読み込み速度と書き込み速度の違い
- 長期保存と耐久性の比較ポイント
- 購入時に確認すべき規格と容量
サムスンSDカードの特徴と製品ライン

サムスンのSDカードは、半導体メーカーとしての強みを活かした、分かりやすい製品階層が特徴です。主に3つのラインナップで構成されており、ユーザーが自身の用途に合わせて選びやすいように設計されています。
サムスンの主要ラインナップ
サムスンのポートフォリオは、主に以下の3シリーズに分けられます。
- EVO Plus: 一般的なユーザー向けのメインストリームモデルです。スマートフォンやNintendo Switch、フルHD動画の撮影など、幅広い用途に対応するコストパフォーマンスの高さが魅力です。ただし、一部の小容量モデルは4K動画撮影に必要な性能を満たさない場合があるため注意が必要です。
- PRO Plus: 性能を重視するクリエイターやカメラ愛好家向けの主力モデルです。4K動画撮影やドローン、アクションカメラでの使用を想定しており、高速な書き込み性能と高い信頼性を両立させています。
- PRO Ultimate: プロフェッショナル向けの最上位モデルです。PRO Plusを上回る読み取り速度を誇り、撮影後のデータをPCへ高速で転送する作業(オフロード)の効率を最大限に高めたいユーザーに最適です。
このようにサムスンは、広く普及しているUHS-Iという規格内で性能を最大限に引き出すことに注力しており、論理的で選びやすい製品展開が強みと言えます。
サンディスクSDカードの特徴と製品群

サンディスクは、ストレージ製品の専門メーカーとして、非常に多岐にわたる製品ラインナップを展開しているのが特徴です。あらゆるユーザーの細かなニーズに応えるため、市場を細分化した製品構成となっています。
サンディスクの多様なポートフォリオ
サンディスクの主要な製品シリーズは以下の通りです。
- Ultra: 日常的な使用を目的としたエントリーモデルです。スマートフォンの写真保存やコンパクトカメラでの撮影など、高い書き込み速度を必要としない用途に適しています。
- Extreme: 性能と価格のバランスが取れた、カメラ愛好家やプロシューマー向けのモデルです。4K動画撮影やアクションカメラ、ドローンでの使用に十分な性能を持ち、サムスンのEVO Plusシリーズの上位モデルと競合します。
- Extreme PRO: プロの写真家や映像制作者から絶大な信頼を得ているフラッグシップモデルです。高速な連写撮影や高ビットレートの動画記録に対応する性能を持ちます。
加えて、サンディスクはプロフェッショナル向けに、より高速なUHS-II規格のSDカードを豊富にラインナップしている点でサムスンと差別化を図っています。また、多くの製品にデータ復旧ソフト「RescuePRO Deluxe」の利用権が付属する点も、万が一のデータ損失に備えたいユーザーにとって大きなメリットです。
読み込み速度と書き込み速度の違い

SDカードの性能を語る上で、「読み込み速度」と「書き込み速度」の違いを理解することは非常に大切です。これらはカードの使い勝手に直接影響を与えます。
「書き込み速度」は、カメラで撮影した写真や動画などのデータをSDカードに保存する速さです。この速度が遅いと、高画質の動画撮影中に録画が停止したり、高速連写でカメラの性能を最大限に引き出せなかったりする原因になります。特に4Kのような高解撮度動画では、安定した高い書き込み速度が求められます。
一方、「読み込み速度」は、SDカードに保存されたデータをPCや他のデバイスに転送する速さです。この速度が速いほど、撮影後に大量のデータをPCへバックアップする時間が短縮され、編集作業へスムーズに移行できます。
ベンチマークで見る性能差
実際の性能テストでは、両ブランドの最上位UHS-Iカード(サムスン PRO Plus/Ultimate、サンディスク Extreme PRO)は、どちらも非常に高い性能を示します。
カードモデル | 公称読取り | 公称書込み | 実測シーケンシャル読取り | 実測シーケンシャル書込み | 実測ランダム4K読取り (IOPS) |
Samsung PRO Plus | 180MB/s | 130MB/s | 約158MB/s | 約124MB/s | 約2605 |
SanDisk Extreme PRO | 200MB/s | 140MB/s | 約191MB/s | 約136MB/s | 約1340 |
表を見ると、大容量ファイルの連続転送(シーケンシャル性能)ではサンディスクが僅かに優位な場合があります。しかし、ゲームのロード時間などに影響する細かなファイルの読み書き(ランダム性能)では、サムスンが圧倒的に優れた結果を出しています。この性能差が、用途によって最適なカードが異なる理由の一つです。
なお、公称値の最高速度を出すには、多くの場合、各メーカー独自のカードリーダーが必要になる点も覚えておくべきでしょう。
長期保存と耐久性の比較ポイント

大切なデータを預けるSDカードにとって、耐久性と信頼性は性能と同じくらい重要な要素です。サムスンとサンディスクは、どちらも過酷な環境での使用を想定した高い耐久性を備えています。
両ブランドの上位モデルは、一般的に防水、耐熱、耐衝撃、耐X線、耐磁といった保護機能を備えており、日常的な使用から旅行やアウトドアシーンまで、安心して利用することが可能です。保護機能の項目数に多少の違いはありますが、実用上の物理的な堅牢性に大きな差はないと考えてよいでしょう。
一方で、長期的な価値という観点では保証内容と付加サービスに違いが見られます。サムスンは多くの製品で10年間の限定保証を提供しています。対照的に、サンディスクは最上位のExtreme PROラインなどで「無期限保証」(国や地域によっては30年保証)を掲げており、保証期間の長さで優位性を示します。
ただし、どちらのメーカーもドライブレコーダーや監視カメラのような、常に書き込みを繰り返すような過酷な使い方を保証の対象外としている点には注意が必要です。これらの用途には、専用の高耐久モデルを選ぶ必要があります。
購入時に確認すべき規格と容量

SDカードを選ぶ際には、価格や容量だけでなく、性能に関わるいくつかの「規格」を理解しておくことが、失敗を避けるための鍵となります。
重要な3つの速度規格
最低限、以下の3つの規格は確認することをおすすめします。
- バスインターフェース (UHS-I / UHS-II): カードの最大転送速度を定めた規格です。UHS-IIはUHS-Iより遥かに高速ですが、カメラやカードリーダー側もUHS-IIに対応していなければ性能を発揮できません。自分の機材がどちらに対応しているか確認が必須です。
- ビデオスピードクラス (V30 / V60 / V90): 動画撮影時の「最低保証書き込み速度」を示す規格です。V30は最低30MB/sを保証することを意味し、4K動画を安定して撮影するための実質的な最低ラインと考えられています。
- アプリケーションパフォーマンスクラス (A1 / A2): スマートフォンやゲーム機で、アプリやゲームをSDカードから直接実行する際の快適さを示す規格です。A2はA1より高いランダム性能を要求され、ゲームのロード時間短縮などが期待できます。
容量の選び方
容量は、撮影するデータの種類や量によって選びます。フルHD動画が中心なら64GBでも対応可能ですが、4K動画を本格的に撮影するなら128GB以上が安心です。また、ゲームソフトをたくさんダウンロードしたい場合も、128GBや256GBといった大容量モデルが推奨されます。
サムスンとサンディスクのSDカード比較【用途別選び方】
- 4K動画撮影におすすめのSDカード
- ゲーム機・Switchで使うSDカード選び
- スマホとの相性と動作保証を確認
- コスパ重視の選び方とおすすめモデル
- 偽造品の見分け方と注意点とは?
4K動画撮影におすすめのSDカード

4K動画の撮影には、大量のデータを途切れることなく安定して書き込める性能がSDカードに求められます。そのため、カード選びで最も重要な指標となるのが「ビデオスピードクラス」です。
結論から言うと、4K動画を撮影するためには、最低でも「V30」規格に対応したSDカードが必須条件となります。今回比較しているサムスンのPRO PlusやPRO Ultimate、そしてサンディスクのExtremeやExtreme PROといったモデルは、すべてこのV30規格を満たしており、4K動画撮影において信頼性の高い選択肢です。
実際の撮影シーンでは、これらのカードを使えばコマ落ちなどのトラブルが発生する可能性は極めて低いと考えられます。むしろ、長時間の連続撮影では、SDカードの性能限界よりも先にカメラ本体の熱が原因で録画が停止してしまうケースもあるほどです。
したがって、撮影時の性能だけで見れば、両ブランドのV30対応カードに大きな優劣はありません。選択の分かれ目となるのは、撮影後のワークフローです。撮影した大量のデータをPCに転送する作業を頻繁に行うビデオグラファーであれば、読み込み速度の速いサムスン PRO Ultimateや、対応リーダーと組み合わせたサンディスク Extreme PROが、作業時間の大幅な短縮につながるため、より良い選択となるでしょう。
ゲーム機・Switchで使うSDカード選び

Nintendo SwitchやSteam Deckといった携帯ゲーム機でSDカードを使用する場合、着目すべき性能は動画撮影とは全く異なります。ゲーム用途で最も快適さを左右するのは、ゲームのロード時間です。
ゲームのロードは、一つの大きなファイルを読み込むのではなく、無数の小さなデータを高速に読み書きする処理が連続して発生します。この性能を示す指標が「ランダム読取り/書込み性能」であり、IOPS(1秒あたりの入出力操作数)という単位で測定されます。そして、この性能を保証するのが「アプリケーションパフォーマンスクラス(A1/A2)」規格です。
前述の通り、ベンチマークテストの結果を見ると、このランダム性能においてサムスンのSDカードが圧倒的な強さを見せています。特にサムスン PRO Plusは、競合となるサンディスク Extreme PROに対して2倍以上のランダム性能を記録する場合があり、この差はゲームのロード時間に直接的な影響を与える可能性があります。
これらのことから、Nintendo SwitchやSteam Deckでダウンロードしたゲームを快適にプレイしたいのであれば、技術的に優れたランダム性能を持つサムスン PRO Plusが、議論の余地なく最適な選択肢と考えられます。価格面での優位性も、この推奨をさらに後押しする要因です。
スマホとの相性と動作保証を確認

スマートフォンでSDカードを利用する主な目的は、写真や動画の保存容量の拡張です。この使い方であれば、ほとんどの有名ブランドのSDカードで問題なく使用できます。
しかし、スマートフォンのアプリをSDカードにインストールして直接実行したい場合は、話が少し変わります。この用途では、ゲーム機と同様にランダム性能が重要になるため、「A2」規格に対応したカードを選ぶのがおすすめです。サムスンのPRO PlusやPRO Ultimate、サンディスクのExtreme PROなどがこの規格に対応しており、アプリの起動や動作をより快適にする効果が期待できます。
ただし、注意点として、スマートフォンとSDカードには「相性」の問題が存在します。まれに、特定の機種とカードの組み合わせで動作が不安定になったり、カードが認識されなかったりするケースが報告されています。
これを避けるためには、スマートフォンの公式サイトなどで公開されている「動作確認済みSDカード」のリストを事前に確認することが最も確実な方法です。安心して使用するためにも、購入前に自分のスマートフォンとの相性や動作保証について確認しておくことを推奨します。
コスパ重視の選び方とおすすめモデル

最高の性能を追い求めるのではなく、信頼できる性能をできるだけ低いコストで手に入れたい、と考えるユーザーは少なくありません。コストパフォーマンスを重視する場合、両ブランドの製品ラインナップの中でも特に注目すべきモデルが存在します。
このカテゴリで際立った存在感を示すのが、サムスンの「EVO Plus」シリーズ(128GB以上のモデル)です。このカードは、4K動画撮影の基準となるV30規格と、快適なアプリ動作の目安となるA2規格の両方を満たしながら、非常に競争力のある価格で提供されています。日常的な写真撮影から、ドローンやアクションカメラでの4K動画撮影、スマートフォンのストレージ拡張まで、多くのユーザーの要求を十分に満たす性能と機能を、優れたコストで実現しています。
一方、サンディスクの「Extreme」シリーズも、この分野における強力な競合製品です。こちらもV30規格に対応し、安定した性能とブランドへの信頼性から多くの支持を集めています。
市場価格を比較すると、サムスン EVO Plusの方がより積極的な価格設定にされていることが多く、純粋なコストパフォーマンスでは一歩リードしている印象です。特別なこだわりがなければ、大多数のユーザーにとってサムスン EVO Plusが、性能・機能・価格のバランスが最も取れた選択肢となる可能性が高いでしょう。
偽造品の見分け方と注意点とは?

サムスンやサンディスクのような人気ブランドのSDカードは、残念ながら市場に多くの偽造品が出回っています。これらの偽造品は、見た目が精巧に作られている一方で、性能面で深刻な問題を抱えています。
偽造品の主なリスクは、容量偽装(例:256GBと表示されているが実際は32GBしかない)、公称値を大幅に下回る転送速度、そして最も深刻なのが、突然データが読み出せなくなるデータ消失です。大切な思い出や仕事を失うことになりかねないため、偽造品の購入は絶対に避けなければなりません。
偽造品を避けるための最も確実な方法は、信頼できる販売店から購入することです。各メーカーの公式サイトに掲載されている正規代理店や、大手家電量販店のオンラインストアなどを利用するのが最も安全です。オンラインのマーケットプレイスで購入する際は、販売元の評価をよく確認し、相場から極端にかけ離れた安い価格の製品には手を出さないようにしましょう。
また、パッケージの印刷が不鮮明であったり、フォントに違和感があったりする場合も注意が必要です。購入後にPCに接続して、専用のソフトウェア(サムスンの場合は「Samsung Magician Software」)で正規品認証を行ったり、実際に大容量のデータを書き込んでみて容量偽装がないかテストしたりすることも有効な対策です。
サムスンとサンディスクのSDカード比較まとめ
- サムスンとサンディスクはSDカード市場を牽引する二大ブランド
- サムスンの強みは性能と価格のバランスに優れた高いコストパフォーマンス
- サンディスクの強みはプロからの長年の信頼と幅広い製品ラインナップ
- サムスンはEVO Plus、PRO Plus、PRO Ultimateの3層構造で選びやすい
- サンディスクはUltra、Extreme、Extreme PROなど多様なニーズに対応
- 大容量ファイルの転送速度(シーケンシャル性能)はサンディスクが優位な場合がある
- ゲームのロード時間に関わるランダム性能はサムスンが圧倒的に優れる
- 4K動画撮影には最低でもV30規格に対応したカードが必要
- ゲーム機やSwitchで使うならランダム性能の高いサムスンPRO Plusが最適
- スマホでアプリを動かすならA2規格対応カードがおすすめ
- 物理的な耐久性は両ブランドともに高水準で大きな差はない
- 保証期間はサムスンが10年、サンディスクは無期限保証を掲げる
- サンディスクにはデータ復旧ソフトが付属する大きなメリットがある
- コストパフォーマンスを最重視するならサムスンEVO Plusが有力候補
- 偽造品のリスクを避けるため信頼できる正規販売店から購入することが最も重要
- 最終的には自分の主な用途と予算を明確にして選ぶことが後悔しないための鍵となる