モバイルバッテリーの変換ロスって何?どう選べば損しない?

モバイルバッテリーの変換ロス原因と減らし方

こんにちは。SnapGadget、運営者の「すながじぇ」です。

モバイルバッテリーの変換ロスって、地味にモヤっとしますよね。10,000mAhって書いてあるのに、思ったより充電回数が少ない。実効容量は結局どれくらい?容量は6割って本当?mAhとWhの違いって何?…このへんがスッと腑に落ちないと、買い替えのたびに不安になります。

この記事では、電圧変換(3.7Vと5Vの差)や変換効率、内部抵抗と発熱、ケーブルの電圧降下、USB PDやPPSの考え方まで、できるだけわかりやすく整理します。読めば「故障じゃないのか」「どこでロスしてるのか」「どう選べば損しないか」が見えるはずです。

この記事で分かること
  • モバイルバッテリーの実効容量が減る仕組み
  • mAhとWhの違いと充電回数の考え方
  • USB PD・PPSでロスと発熱が変わる理由
  • ケーブル選びで起きる電圧降下の対策
目次

モバイルバッテリーの変換ロスとは

まずは「なぜスペック通りにならないのか」を、原因ごとにほどいていきます。ポイントは、容量(mAh)の数字だけで判断すると必ずズレる、というところ。ここを押さえると、体感の違和感がかなり消えます。

モバイルバッテリーの昇圧変換と熱損失の仕組み図解
表記容量と実効容量に差が出る「昇圧」と「熱」の仕組み

実効容量は6〜7割の理由

結論から言うと、多くのモバイルバッテリーは表記容量のまま全部を取り出せません。これ、わりと「壊れてる?」って不安になるポイントなんですが、実はかなり正常な現象です。バッテリーって、電気を「そのまま」移し替えてるように見えて、内部では電圧を作り替えたり、保護回路が働いたり、熱が出たりと、いろんなことが起きています。ここ、気になりますよね。

ロスが積み重なる“場所”を押さえる

ロスが積み重なる主な場所はざっくり3つです。

電圧変換、内部抵抗、ケーブル抵抗の3箇所で起きるロスの図
電気がスマホに届くまでに通る「3つの関所」
  • 電圧変換のロス:電池の電圧(だいたい3.xV)をUSBの5V以上に変えるとき
  • 電池内部のロス:内部抵抗で熱になるぶん(大電流ほど増える)
  • ケーブルやコネクタのロス:抵抗で電圧が落ち、熱として消える

ここで大事なのが、ロスは「ひとつの原因でドカンと減る」というより、小さな損失が足し算で効いてくるタイプだということです。たとえば、電圧変換で85〜90%くらい、ケーブルで数%〜十数%(条件次第)、さらにスマホ側でも充電制御で熱が出る。これが重なると「え、こんなに減るの?」になります。

“6〜7割”は平均、状況で揺れる

目安として「6〜7割くらい」はよく出るラインですが、これも条件次第で上下します。たとえば高出力で急速充電するほど発熱が増えて効率が落ちやすいですし、逆に低負荷でも制御回路の消費が効いて効率が落ちることがあります。スマートウォッチみたいな小さな機器をちょこちょこ充電してると「思ったより減る」って感じやすいのは、まさにこのパターンです。

数字はあくまで一般的な目安です。製品の回路設計、温度、ケーブル品質、端末側の充電制御で体感は変わります。

買う前に“期待値”を整えると失敗しにくい

私がよくおすすめするのは、「表記容量=使える容量」だと思わないこと。期待値の作り方を変えるだけで、購入後のストレスがかなり減ります。特に旅行や出張で「絶対に足りないと困る」場面だと、変換ロスを見込んだ上で容量を選ぶほうが安全です。

そして安全面の話も、あえてここで触れておきます。異常発熱や膨張があれば話は別で、それはロス以前に危険信号です。体感がいつもと違う時は無理をせず、メーカーサポートへ相談するのが正解かなと思います。最終的な判断は専門家にご相談ください、というスタンスでいきましょう。

mAhとWhの違いを理解

ここがいちばんの勘違いポイントです。mAhは「電気の量(電荷)」Whは「エネルギー」の目安です。モバイルバッテリーの“モヤモヤ”の半分くらいは、この単位のズレが原因だと私は思ってます。数字が同じでも、条件が違うと意味が変わる。ここ、ちょっとクセがあります。

電圧が高いとmAhが減って見えるバケツの図解
電圧(高さ)が変わると、同じエネルギーでもmAh(量)の見え方が変わります

モバイルバッテリー表記のmAhは“セル基準”になりがち

モバイルバッテリーに書いてある10,000mAhは、だいたい電池セルの公称電圧(約3.6〜3.7V)基準での話になりがちです。一方、スマホへ給電するUSB側は5V(PDなら9V/15V/20Vなど)なので、同じエネルギーでもmAh換算はズレます。

「エネルギー(Wh)はだいたい保存されるけど、mAhは電圧が変わると同じにならない」

たとえば極端に言うと、同じ“エネルギー”でも、電圧が高いほうがmAhは小さく見えます。だから、バッテリーの中身が3.7Vで、出力が5Vなら、どうしてもmAh換算は小さくなる。これは「損してる」というより、単位の意味が違うんですよね。

Whで考えると比較がしやすい

Whは「電圧×電流×時間」みたいなイメージで、ざっくり“使えるエネルギー量”に近いです。だから本当は、製品比較はWhのほうがフェア。とはいえ、現実としてパッケージや商品ページはmAhが主役になりがちなので、読者のあなたが混乱するのは当然です。

ざっくり換算:Wh ≒(mAh ÷ 1000)× 公称電圧(V)

例:10,000mAh(3.7V換算)なら、だいたい 10Ah × 3.7V ≒ 37Wh くらいのイメージ

ただし、この換算も“理論上の話”で、実際は変換効率や保護回路、ケーブル損失が乗ってきます。数字を扱うときは、断定じゃなく目安で見るのが安全です。

ありがちな誤解をここで潰しておく

だから「10,000mAhなら、3,000mAhのスマホを3回いけるはず」みたいな単純計算は、ほぼ確実に外れます。たとえばスマホのバッテリーは3.85V公称だったり、充電終盤は電流が絞られたりしますし、そもそも充電100%まで入れ切ると発熱で効率が落ちやすい。体感のズレは、積み重ねで生まれます。

ここまで読んで、「じゃあ何を信じればいいの?」ってなると思うんですが、私は“Wh感覚+ロス係数”で考えるのがいちばん迷子になりにくいと思ってます。このあと計算パートで、もう少し現実寄りに落としますね。

3.7Vと5Vの電圧差が原因

モバイルバッテリーの中身(リチウムイオン電池)は、ざっくり満充電で4.2V前後、そこから放電が進むと3V台まで下がる性質があります。一方でUSB出力は基本5Vです。この「電圧の階段」が、変換ロスと実効容量の体感差を生みます。

3.7Vから5Vへの昇圧でmAh換算が74%になる計算図
ロスがゼロでも、電圧変換だけでmAhの数値は約7割になります

電圧が違う=同じmAhで比べられない

この差を埋めるために、バッテリーは内部で電圧を上げます。ここで「ロスが出る」のはもちろんですが、さらに重要なのは同じエネルギーでもmAh表示が縮むこと。つまり、ロスがゼロでもmAh換算は減る。ここを知らないと、永遠にモヤモヤします。

イメージの式はこんな感じです(ざっくりでOKです)。

出力Ah ≒ 入力Ah ×(入力電圧 / 出力電圧)× 変換効率

例:3.7V→5Vで効率100%でも 3.7/5.0 ≒ 0.74 になります

つまり、ロスがゼロでも「mAh的には」すでに目減りして見える、というのがポイントです。ここに変換効率(たとえば85〜90%)が掛かると、0.74×0.85=0.629…みたいに、体感の「6割台」が見えてきます。

電圧差が大きいほど、変換の負担が増えやすい

さらにUSB PDで20V出力みたいな世界に入ると、3.7V→20Vみたいに電圧差が一気に広がります。電圧差が広がると、回路は頑張る必要が出て、熱も出やすくなる。もちろん高性能な回路なら効率を保てますが、設計の差が出やすい領域でもあります。

ただし「高電圧=損」とも言い切れません。ケーブル損失(I²R)を減らせる利点があり、トータルでは有利になるケースもあります。どこで損しているかを分解して考えるのがコツです。

“電圧が下がる電池”を扱っている現実

そしてもうひとつ。リチウムイオン電池は放電が進むと電圧が下がります。つまり、モバイルバッテリーは「入力電圧が変動する電源」を相手に、出力を安定させている。この時点で、設計難易度が上がるんですよね。残量が少ないと急速充電が伸びない、という体感も、ここに繋がります。

なので、あなたが感じている「最後のほう急に減る」「伸びない」は、だいたい正常範囲のことが多いです。もちろん個体差や粗悪品もありますが、まずは仕組みとして理解しておくと、判断がしやすくなります。

変換効率と昇圧回路の仕組み

USBへ出すための心臓部がDC-DCコンバータです。5Vだけの時代は「昇圧(ブースト)」が中心でしたが、最近はUSB PDで9Vや20Vも扱うので、入力と出力の関係が変わっても動ける昇降圧(バックブースト)が採用されることが増えています。ここ、難しそうに見えるんですが、要は「電気の変圧器(直流版)」みたいなものだと思ってOKです。

効率が落ちる代表的な原因

  • 導通損失:スイッチ素子やコイルの抵抗で熱になる(電流が大きいほど増える)
  • スイッチング損失:ON/OFF切り替え時に電圧と電流が重なる
  • コイルの損失:コア材の鉄損など
  • 静止電流:低負荷のときに相対的に効いてくる

効率が「ピークで95%」と書いてあっても、常に95%とは限りません。低負荷や高負荷、温度が高い状況では落ちやすいです。

“ピーク効率”と“普段の効率”は別物

メーカーの資料や製品レビューで効率が語られるとき、どうしても「ピーク効率」が目立ちます。でもあなたが知りたいのは、たぶん“普段の使い方での効率”ですよね。たとえば、スマホを寝る前にちょい足しで充電するのか、外出先で20W〜30W級で一気に入れるのかで、回路が動く領域が変わります。

低負荷だと静止電流が効いて効率が落ちることがあるし、高負荷だと導通損失と発熱が効いて落ちる。つまり、真ん中あたりが一番おいしいことが多いです。ここを知ってるだけで、使い方の工夫(後半で話します)にも繋がります。

熱が出ると効率はさらに落ちやすい

回路って、基本的に熱が増えると抵抗が増えて、また熱が増える…という嫌なループに入りやすいです。だから高品質なモバイルバッテリーは、放熱シートや筐体設計で熱を逃がす工夫をしています。逆に小型すぎる・詰め込みすぎる製品は、熱がこもってスロットリング(出力制限)が入りやすいこともあります。

変換ロスは“回路の数字”だけじゃなく、熱設計(放熱)でも体感が変わるというのは覚えておくと得です。

PDやPPSの話は後半で詳しく触れますが、ざっくり言うと電圧の選び方熱の出方が変換ロスに直結します。結局、電気は熱になりがち。そこをどれだけ抑えられるか、という勝負ですね。

内部抵抗と発熱ロスの正体

電池は理想的な電源じゃなく、必ず内部抵抗を持ちます。ここで電流が流れると、熱(ジュール熱)としてエネルギーが消えます。大事なのは、発熱は「戻ってこないエネルギー」だってこと。ここを理解すると、急速充電で本体やスマホが熱くなる意味が、かなり腑に落ちると思います。

チップの発熱と内部抵抗によるエネルギー損失のイメージ
急速充電(大電流)ほど、内部抵抗による発熱(I²R)が増え、ロスになります

急速充電のように大電流になるほど、発熱(I²R)が増えてロスが増えやすいです。

内部抵抗は“電池のクセ”で、ゼロにはできない

内部抵抗は、電解液の抵抗や電極の反応抵抗、タブや集電体の抵抗など、いろんな要素の合計です。これがある限り、電流が増えれば熱が増えます。だから「高出力=効率が落ちやすい」は、わりと自然な結論です。

温度も効く:寒いと減る、熱いと守る

加えて、温度もめちゃくちゃ効きます。寒いとイオンが動きにくくなって内部抵抗が増え、電圧が落ちやすい。結果として「冬の屋外で減りが早い」になりがちです。逆に暑いと一時的に反応は進みやすいですが、副反応や安全上のリスクが増えるので、保護回路が出力を絞ることがあります。

高温状態での充電・放電は、安全面でリスクが上がります。炎天下の車内など、明らかに暑い環境では無理に使わないのがおすすめです。

“熱で遅くなる”のはスロットリングが絡む

さらに、温度が上がると安全のために制御が入って出力が落ちることもあります。すると充電時間が伸び、待機中の消費なども含めてトータルで損しやすい。だから「熱」は変換ロスの隠れボスです。

個人的におすすめの対策はシンプルで、充電中は風通しを確保すること。ポケットの中でスマホとモバイルバッテリーを重ねて使うと、熱の逃げ場がなくなって効率が落ちやすいです。できるならカバンの外ポケットに入れるとか、机の上で少し離して置くとか、それだけでも変わることがあります。

そして最後に大事な一言。異常な発熱、膨張、異臭があるときは「ロスの話」ではなく「安全の話」です。正確な対応はメーカーの公式案内に従ってください。最終的な判断は専門家にご相談ください。

モバイルバッテリー変換ロスを減らす

ここからは「じゃあどうする?」のパートです。完全にゼロにはできませんが、選び方と使い方でムダはかなり減らせます。特にケーブルPD/PPSは、体感に差が出やすいところです。

ケーブル太さAWGと電圧降下

意外と軽視されがちですが、ケーブルの抵抗はバカにできません。細いケーブルほど抵抗が大きく、電流が大きいほど電圧降下と発熱が増えます。ここ、ほんとに“盲点”になりやすいんですよ。モバイルバッテリー本体ばかり見て、ケーブルは適当に選んでしまう。結果、途中で電気を捨ててます。

AWG20とAWG28のケーブル断面比較図
AWGの数字が小さいほど芯線が太く、抵抗が少ない(ロスが減る)仕組み

AWGは“太さの目安”で、ロスと直結

AWG(米国ワイヤーゲージ)は数字が小さいほど太い、というルールです。太いほど抵抗が下がり、電圧降下が減って、発熱も減ります。つまり同じ条件なら太いほうが有利です。

AWG目安の太さ抵抗の傾向高出力充電
20前後太め低い向いてる
24前後標準中くらい状況次第
28前後細め高い不利になりやすい

パッケージの「〜A対応」「〜W対応」で判断するのもアリ

ただ、すべてのケーブルにAWGが書かれているわけではありません。そんなときはパッケージの「3A対応」「5A対応(100W/60W)」といった表記が目安になります。特に5A対応(100W対応)のケーブルは、大電流を通すために内部の導線が太く作られているため、低出力の充電で使っても抵抗が低く、ロスが減りやすい傾向にあります。


電圧降下が起きると、端末が“受け取れない”ことがある

ケーブルで電圧が落ちると、単に効率が落ちるだけじゃなく、スマホ側が「電圧足りない」と判断して充電を絞ることがあります。すると、充電が遅くなるだけでなく、充電時間が伸びることでトータルの損失も増えやすい。地味にダメージが二重なんですよね。

「同じ充電器・同じバッテリーなのに、ケーブルを替えたら速くなった」みたいな話は珍しくありません。変換ロスというより、途中で捨ててるケースですね。

5A対応のUSB-CケーブルはE-Marker(電子タグ)が内蔵されており、仕様が明確なことが多いのもメリットです。

ケーブル選びの現実的なチェックリスト

  • 長さは短め:長いほど抵抗が増えて不利
  • 高出力なら5A対応:E-Marker入りで仕様が明確なことが多い
  • コネクタが緩い/発熱するなら交換:接触抵抗が増えてる可能性

もちろん、ケーブルの個体差や表記の曖昧さもあります。最終的にはメーカーの仕様や公式説明を確認してください。安全面も含めるなら、信頼できるメーカーを選ぶのがいちばん堅いです。

USB PDで高電圧充電は得か

USB PDは、5Vだけじゃなく9Vや15V、20Vなどに切り替えて給電できます。ここでのメリットはシンプルで、同じ電力なら電圧を上げるほど電流が下がること。電流が下がると、ケーブルで捨てる熱(I²R)が減ります。つまり「ケーブル損失の削減」に強い。ここ、体感でわかりやすい部分です。

電圧を上げると電流が下がり、ケーブルロスが減るシーソーの図
電圧を上げる(9V/15V/20V)と電流が下がり、ケーブルでの発熱・ロスを抑えられます

なぜ高電圧が有利になりやすいのか

たとえば同じ20Wを送る場合、5Vなら4A、10Vなら2A、20Vなら1A…みたいに電流が減ります。損失は電流の二乗が効くので、電流が半分になると損失はだいたい4分の1。これが高電圧の強みです。

USB PDの高電圧化は、ケーブルのムダを減らす方向に働きやすいです。

ただし“2段階変換”が起きる

ただし、モバイルバッテリー側は3.xVから高電圧へ昇圧し、スマホ側も受け取った電圧を電池電圧(約4V前後)へ落とします。つまり変換が2回起きるので、製品や条件次第でロスの出方は変わります。

ここで勘違いしやすいのが、「高電圧にしたらバッテリー側の変換が大変だから損」みたいな短絡です。実際は、ケーブルで節約できる分と、バッテリー側・端末側で増える変換負担のバランスです。だから結論は、製品と状況次第になります。

一次情報で“USB PDの設計思想”を確認しておく

USB PDは、まさに「同じケーブルで柔軟に電力を扱う」ための規格です。規格の概要はUSB-IF(USB Implementers Forum)が公開している情報が一次情報になります。規格の方向性を押さえるなら、ここを見ておくのがいちばん確実です。

(出典:USB Implementers Forum『USB Charger (USB Power Delivery)』)

PDや電圧の全体像は、SnapGadget内でも詳しくまとめています。必要ならあわせてどうぞ。

モバイルバッテリーの電圧と急速充電の仕組み

あなたの使い方なら“得”になりやすい?の判断軸

私の目安としては、次のどれかに当てはまるならPDの恩恵を受けやすいです。

  • ケーブルが長めになりがち(車内・ベッド周りなど)
  • 高出力で短時間に充電したい(外出前の“追い充電”)
  • ノートPCやタブレットも充電する(電力が大きい)

逆に、低電力機器だけをちょこちょこ充電するなら、PDそのものよりも“低負荷効率が良い設計か”のほうが効くこともあります。ここはレビューやメーカーの設計思想が出るところですね。

PPS対応で発熱とロス減

PPSはUSB PDの拡張で、電圧をかなり細かく調整できます。これが効くのは、スマホ側が「今ほしい電圧」を出しやすくなるから。ここ、正直ちょっと玄人っぽい話に見えるんですが、結果としてあなたが感じるのは「発熱がマシ」「安定して速い」になりやすいです。

PPSの仕組みを賢いバルブとバケツで表現したイラスト
PPSは必要な分だけ電圧を調整して送るため、余分なエネルギーが熱になりにくい

固定電圧だと“余り”が熱になりやすい

固定の9Vなど電圧差が大きい状態だと、スマホ内部で電圧を下げる際の負担が大きく、そのぶん熱が発生しやすくなります。でもPPSなら、必要な範囲に寄せやすいので、端末側の発熱が抑えられて効率が上がりやすいです。特に、充電が進んでバッテリー電圧が変わる局面で、PPSが効いてきます。

PPSは「速い」だけじゃなく「熱がマシ」になりやすいのが嬉しいところです。

発熱が減ると、結果的に“落ちにくい”

スマホもモバイルバッテリーも、熱が上がると安全のために出力を絞ることがあります。これがいわゆる“熱で遅くなる”状態。PPSで発熱が抑えられると、スロットリングに入りにくくなって、結果として充電が安定しやすい。つまり、単純な効率だけじゃなく実使用のストレスが減る方向に働きます。

対応しているかは“両方”が重要

もちろん端末がPPS対応していることが前提です。さらに言うと、モバイルバッテリー(または充電器)側もPPSに対応していないと意味がありません。片方だけ対応でもダメ。ここ、買い替えで混乱しやすいので注意です。

PPS対応の可否は製品の仕様に書かれています。正確な情報は公式サイトをご確認ください。

“PPSがあると万能”ではない(でも優先度は高い)

最後に現実的な話。PPSがあるからといって、すべての状況で最強になるわけではありません。ケーブルが細ければケーブルで負けるし、モバイルバッテリー自体の放熱が弱ければ熱で絞られます。でも、変換ロスと発熱を抑える方向の思想としてはかなり強いので、私は「迷ったらPPS対応」をおすすめしがちです。

特に「スマホが熱くなって遅いのが嫌」な人には、PPSは刺さりやすいと思いますよ。

充電回数計算と必要容量

「結局、何回充電できるの?」が一番知りたいところだと思います。ここは割り切って、まずは安全側の係数を置くのが現実的です。変換ロスって条件でブレるので、きっちり計算しても、現場でズレます。だったら、最初から“ズレる前提で安全側”に倒しておくほうが、あなたの安心に繋がります。

実用回数計算のための係数0.6を使った計算式の図
10,000mAh × 0.6 ÷ スマホ容量 = 現実的な充電回数

ざっくり計算の考え方

目安:表記mAh × 0.6〜0.7 ≒ 実効容量(5V換算の体感に近づけるためのざっくり係数)

例:10,000mAh → 実効6,000〜7,000mAhくらいを起点に考える

そこから「あなたのスマホの電池容量」で割ると、だいたいの回数感が出ます。もちろん、スマホ側の充電制御やケーブル、温度でブレます。

計算例を“現実寄り”にするとこうなる

たとえばスマホが4,000mAhだとして、10,000mAhのモバイルバッテリーを使うケース。係数を0.65にすると、実効は6,500mAh。これを4,000mAhで割ると約1.6回。ここに「充電は100%まで入れると効率が落ちがち」「端末の発熱で絞られることもある」を考えると、体感としては1.3〜1.6回くらいを想定しておくと、だいぶ現実的になります。

旅行・災害備蓄など“外せない用途”は、係数0.6で見積もると安心です。

必要容量の選び方:あなたの“使い方”から逆算

容量選びって、結局「あなたが何を充電するか」で決まります。スマホだけなら10,000〜20,000mAhが王道ですが、タブレットやイヤホン、さらにノートPCまで絡むと、話が変わります。ここでおすすめなのが、使う機器をざっくり並べて、1日あたりの必要回数を決めること。

  • スマホ:1日で何%くらい使う?(70%使うなら0.7回分)
  • イヤホン:ケース込みで何回満充電したい?
  • タブレット:外出先で動画を見るなら消費は大きめ

この合計を、さっきの係数で割り戻すと「表記容量でどれくらい要るか」が見えてきます。ここまでやると、買ってから後悔しにくいですよ。

ここで出す数値はあくまで一般的な目安です。実際の充電回数は条件で前後します。正確な仕様や対応規格は各メーカーの公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。


モバイルバッテリーの変換ロス総まとめ

最後にまとめです。モバイルバッテリーの変換ロスは「損した気分」になりやすいんですが、仕組みを知ると対策はかなりシンプルになります。私としては、ここまで読んだあなたはもう“買い物で迷いにくい状態”に入ってるはずです。あとは自分の使い方に合わせて、要点だけ持って帰ってください。

スマホとバッテリーの重ね持ち禁止と正しい置き方のイラスト
重ね持ちは熱がこもる原因。風通しよく置く
  • mAhだけで期待値を作らない(Whと電圧差を意識する)
  • PDやPPSは、ケーブル損失や端末発熱の面で有利になりやすい
  • ケーブル品質でロスが体感レベルで変わることがある
  • は効率の敵。重ね置きや高温環境は避ける

“買う前”に効く、超実用チェック

  • スマホがPPS対応なら、モバイルバッテリーもPPS対応を優先
  • 高出力運用が多いなら、5A対応(100W/60W)のUSB-Cケーブルを用意
  • 放熱しやすい置き方(重ねない・風通し)を意識
  • 災害用や出張用は係数0.6で容量を見積もる

そして、ロスの少なさは「スペック表だけ」では見えにくいので、信頼できるメーカーや安全面の情報もセットで見るのが安心です。モバイルバッテリー選びの安全基準も別記事で整理しています。

安全な日本製モバイルバッテリーの選び方

もうひとつ、地味に重要なのが「充電しながら使う(パススルー)」です。構成によっては変換が増えてロスや発熱が増えやすいので、使い方の注意点も押さえておくと失敗しにくいです。

モバイルバッテリーを充電しながら使う方法

発熱が強い、異臭がする、膨張しているなどの異常がある場合は使用を中止してください。安全に関わる判断は無理をせず、必要ならメーカーサポートや専門家に相談するのがおすすめです。正確な情報は公式サイトをご確認ください。

モバイルバッテリーの変換ロスはゼロにはできません。でも「仕組み」と「選び方」を押さえるだけで、ムダは減らせます。あなたの環境(端末・用途・持ち歩き方)に合わせて、いちばん納得できる組み合わせを作っていきましょう。

よかったらシェアしてね!
目次