記事内容更新:2026年8月19日
モバイルバッテリーがいつもより熱い。少し膨らんでいる気がする。発火事故のニュースを見て、「自分が使っているものも燃えるんじゃないか」と不安になったことはありませんか。
最初に結論からお伝えすると、モバイルバッテリーの発火確率を「○%」と信頼できる形で示すことは難しいです。
市場で現在使われているモバイルバッテリーの総数を正確に把握できないため、「事故件数÷使用台数」という計算に必要な分母がありません。事故情報として報告されなかった軽微なトラブルも考えられるので、根拠のない数字を出して安心させたり、不安を煽ったりするのは避けるべきだと思います。
ただし、発火確率そのものが分からなくても、どんな状態が危ないのか、どんな使い方を避けるべきなのかはかなり分かっています。
- 本体が膨らんでいる、変形している
- 以前より明らかに熱くなる
- 焦げたようなにおい、薬品のようなにおいがする
- 充電できない、突然電源が切れる、残量が急激に減る
- 落下や圧迫のあと、本体に変形・割れ・破損がある
- 水に濡れた、水没した
このような異常がある場合は「まだ充電できるから大丈夫」と考えず、充電・使用を止めてください。膨張した本体を押し戻したり、穴を開けたり、分解したりするのもNGです。
万が一、すでに煙や火花、炎が激しく出ている場合は、無理に手で移動させないでください。まず自分や周囲の人の安全を確保します。安全に対応できないと判断したら119番通報が優先です。
この記事では、2026年7月に公表されたNITEの最新事故情報を軸に、発火の原因、危険サイン、充電・保管方法、PSEマーク、車内放置、処分方法まで整理します。
さらに飛行機については、2026年4月24日から適用されている最新ルールへ更新しました。
- モバイルバッテリーの発火確率を、信頼できる単一の割合として示すことは難しい
- NITEの2021〜2025年の事故情報では、モバイルバッテリーの事故件数が製品別で最多
- 2025年のモバイルバッテリー事故は192件で、2021年の51件から3倍以上に増加
- 膨張・変形・異常発熱・異臭・破損は使用中止を判断する重要なサイン
- PSEマークだけでなく、事業者名・メーカーの連絡先・リコール情報まで確認する
- 2026年4月24日以降、飛行機へ持ち込めるモバイルバッテリーは160Wh以下・1人2個までで、機内での充電・給電は禁止
- 膨張・破損・水濡れした製品は一般的な回収ボックスへ勝手に入れず、自治体やメーカーへ確認する
モバイルバッテリーの発火確率は何%?正確な数字を出せない理由
「結局、1万台に1台なの?10万台に1台なの?」と、数字で知りたくなりますよね。
ところが、モバイルバッテリーの発火確率については、単純に「○%」と計算できる十分なデータがありません。
事故件数はNITEや消防機関などから公表されています。一方で、市場に存在しているモバイルバッテリーの総数、そのうち現在も使用されている台数、何年使用されているか、使用頻度までを同じ条件で把握した統計はありません。
そのため、「事故が192件あったから、発火確率は○%」と計算することはできません。
しかも注意したいのが、製品事故件数と発火件数は同じではないことです。事故情報には火災以外の事象や、原因調査中のものなども含まれます。
発火確率を無理に数値化するより、「事故が実際に起きている」「どういう状態で事故が起きやすいのか」を確認して、自分の使い方に当てはめるほうが役立ちます。
2026年最新データではモバイルバッテリー事故が増加
2026年7月15日にNITE(製品評価技術基盤機構)が公表した資料では、2021年から2025年までの5年間に通知されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は2,140件でした。
その中でも、製品別ではモバイルバッテリーの事故が最も多くなっています。
| 年 | モバイルバッテリー事故件数 | リチウムイオン電池搭載製品全体 |
|---|---|---|
| 2021年 | 51件 | 301件 |
| 2022年 | 56件 | 358件 |
| 2023年 | 82件 | 415件 |
| 2024年 | 125件 | 505件 |
| 2025年 | 192件 | 561件 |
2025年の192件は、2021年の51件と比べて3倍以上です。
ここで怖がりすぎる必要はありません。この192件をそのまま「あなたのモバイルバッテリーが燃える確率」と考えるのは間違いです。ただ、事故そのものは増えているので、「自分だけは大丈夫」と完全に無視するのも違うかなと思います。
最新の一次情報は、NITE「『夏バテ(夏のバッテリー)』にご注意を」で確認できます。
また、東京消防庁の令和5年の分析では、リチウムイオン電池搭載製品による火災167件のうちモバイルバッテリーが44件でした。こちらは過去の地域データですが、「モバイルバッテリーが身近な火災原因の一つになっている」ことを理解する資料として参考になります。

つまり見るべきなのは「発火確率は0.00何%なのか」ではなく、事故につながる条件を自分が作っていないかです。

モバイルバッテリーはなぜ発火する?内部短絡と熱暴走の仕組み
モバイルバッテリーの多くにはリチウムイオン電池が使われています。
リチウムイオン電池は、小型でも多くの電気エネルギーを蓄えられるのが大きなメリットです。その一方、内部には可燃性の電解液が使われているため、異常が起きたときには発熱・発煙・発火につながる可能性があります。
内部では正極と負極がセパレータによって隔てられています。この構造が衝撃や劣化などによって損傷し、正極と負極が電気的につながってしまう状態が「内部短絡」です。
内部短絡などで急激に温度が上昇し、さらに化学反応が進んで温度上昇が止まらなくなる状態が、いわゆる熱暴走です。
ですから、モバイルバッテリーは単なるスマホアクセサリーではありません。小さなケースの中に大きなエネルギーを蓄えた電池なので、熱、衝撃、圧力、異常を軽く見ないことが大切です。
事故につながりやすいのは充電中だけではない
「発火するのは充電中だけ」と思っている人もいるかもしれません。
確かに充電中は注意が必要です。NITEが公表した2021〜2025年のリチウムイオン電池搭載製品の事故では、事故発生時の使用状況として充電中が56.6%を占めています。
ただし、この数字はモバイルバッテリーだけではなく、リチウムイオン電池搭載製品全体のデータです。また、充電していない状態で起きた事故もあります。
つまり「充電していなければ絶対安全」ではありません。落下、圧迫、高温、劣化、製品不具合なども含めて考える必要があります。
PSEマークとメーカー情報は購入前に確認
モバイルバッテリー選びで最初に確認したいのがPSEマークです。
日本で規制対象となるモバイルバッテリーは、電気用品安全法の「リチウムイオン蓄電池」として扱われます。製造・輸入事業者が技術基準への適合を確認したうえで、対象製品にはPSEマークを表示します。
ただし、PSEマークがある=発火事故が絶対に起こらないという意味ではありません。
私ならPSEマークだけで終わらず、その近くに製造・輸入事業者名などが表示されているかまで確認します。
- PSEマークが確認できる
- 製造・輸入事業者名が確認できる
- 型番、容量、電圧、Whなどの表示が明確
- メーカー・販売事業者の連絡先が確認できる
- 保証や問い合わせ方法が分かる
- リコール情報を検索できるメーカー・型番である
NITEも2026年の注意喚起で、販売事業者の連絡先や製品情報、リコール情報、表示マークなどを確認するよう案内しています。
「日本製なら安全?」「PSEはどこを確認すればいい?」というところから詳しく知りたい場合は、日本製モバイルバッテリーは本当に安全?PSE・発火リスク・選び方で詳しく整理しています。
経済産業省の最新注意喚起も、リチウムイオン蓄電池搭載製品の事故に関する案内から確認できます。
価格だけで選ばないほうがいい理由
ネット通販では、容量の割に極端に安い製品や、販売事業者の実体が分かりにくい製品も見かけます。
安いこと自体が危険という意味ではありません。ただ、モバイルバッテリーは故障したときに「返品できれば終わり」という商品でもないですよね。
事故やリコールが起きたときにメーカーへ連絡できるか。型番を確認できるか。回収方法を案内してもらえるか。ここまで含めて選ぶ価値があります。
容量を重視して選ぶ場合の一例
旅行や防災用途などでスマートフォンを複数回充電したい人なら、20,000mAhクラスは選択肢になります。一方、毎日の持ち歩きで軽さを優先する人には、5,000〜10,000mAhクラスのほうが扱いやすい場合もあります。
安全性については容量だけで判断せず、PSE表示、事業者情報、取扱説明書、リコール情報まで確認してください。
モバイルバッテリーの危険サイン|膨張・異臭・異常発熱は見逃さない
発火確率を心配するより先に、自分のモバイルバッテリーに異常がないか確認してみてください。
NITEが2026年に示している異常サインはかなり具体的です。
| 状態 | 考え方 | 取る行動 |
|---|---|---|
| 本体が膨らむ・変形 | 電池内部に異常が起きている可能性 | 使用・充電を中止 |
| 以前より異常に熱い | 内部異常や充電トラブルの可能性 | ケーブルを外して使用中止 |
| 焦げ臭い・薬品臭 | 異常反応の可能性 | 使用中止し安全を確保 |
| 充電できない | 劣化・故障などの可能性 | 無理に何度も充電しない |
| 突然電源が切れる・残量が急減 | 正常に制御できていない可能性 | 使用を止めメーカーへ相談 |
| 落下後に割れ・変形 | 内部まで衝撃が加わった可能性 | 使用せず状態を確認 |
| 水濡れ・水没 | 内部短絡などの可能性 | 充電せず適切に対処 |
膨張したら「まだ使える」は判断基準にしない
膨張は特に分かりやすい危険サインです。
本体ケースの合わせ目が開いている、テーブルに置くとガタつく、以前より厚くなった。このような状態なら、残量表示が正常でも使用を続けないほうがいいです。
内部でガスが発生するなどして電池セルが膨張している可能性があります。
さらに怖いのが、「元に戻したいから押してみよう」と考えることです。
NITEでは、膨張を元に戻そうとして強い力を加えたことで異常発熱し、出火した事故があると注意喚起しています。膨らんだ本体を押す、工具でこじ開ける、穴を開けるといった行為は避けてください。

すでに膨らんでいる場合の家電量販店・自治体での扱いについては、膨張したモバイルバッテリーの処分方法|ヤマダ電機・自治体で詳しく整理しています。
水に濡れたモバイルバッテリーも充電しない
雨に濡れただけ、水を少しこぼしただけだから大丈夫だろう、と充電器につなぐのも避けたい行動です。
外側が乾いていても内部まで乾いているとは限りません。製品の防水性能もモデルによって違います。
水濡れ後に「動くか試すために充電する」のではなく、まず使用を止めて製品メーカーの案内を確認してください。
水没・雨・飲み物をこぼした場合のNG行為は、モバイルバッテリーが水に濡れた時の対処法|NG行為と処分で詳しく解説しています。
落とした直後に普通に使えても油断しない
スマートフォンと違って画面が割れるわけではないので、モバイルバッテリーを落としても「外側に傷がないから大丈夫」と判断しがちです。
ただ、リチウムイオン電池は強い衝撃や圧力によって内部ショートが生じ、発煙や発火につながる可能性があります。
落下後に本体が割れた、へこんだ、膨らんだ、異常に熱い、変なにおいがするなどの変化が出ている場合は使用を中止してください。
モバイルバッテリーでやってはいけないこと
発火リスクを減らすうえでは、「何をすればいいか」と同じくらい「何をしないか」が大切です。
- 膨張・異臭・異常発熱があるのに使い続ける
- 膨らんだ本体を押しつぶす、穴を開ける、分解する
- 布団・ベッド・ソファ・バッグの中など熱がこもる場所で充電する
- 異常が起きても気づきにくい就寝中・外出中に充電する
- 真夏の車内や直射日光が当たる場所へ放置する
- 落下や圧迫で破損したものをそのまま使う
- 水濡れした製品を動作確認目的で充電する
- 膨張・破損した製品を一般ごみや回収ボックスへ勝手に入れる
布団やバッグの中で充電しない
充電中はある程度温度が上がることがありますが、問題なのは熱の逃げ道を塞ぐことです。
布団、ベッド、クッション、ソファ、衣類の上、バッグの中などは熱がこもりやすく、異常が起きたときにも気づきにくくなります。
NITEも、充電中に異常が発生した際すぐ対処できるよう、外出時や就寝時などの充電を避け、周囲に可燃物のない安全な場所で充電するよう案内しています。

夏の車内へ置きっぱなしにしない
車移動が多い人に特に気をつけてほしいのが、モバイルバッテリーの車内放置です。
2026年のNITE資料でも、高温となる場所ではリチウムイオン電池搭載製品を使用・保管しないよう注意喚起されています。直射日光の当たる場所や暑い日の自動車内は代表例です。
NITEが紹介している実際の事故事例には、2024年7月に駐車中の車内へ置かれていたモバイルバッテリーと周辺が焼損したケースもあります。

「コンビニに寄るだけだから」「トランクなら直射日光は当たらないから」と考えず、暑い時期は車内へ置きっぱなしにしないのが分かりやすい対策です。
また、バッグやトランクでは熱だけでなく圧迫にも注意してください。重い荷物の下に入れる、硬い物と一緒に押し込むといった状態も避けたいところです。
発火リスクを抑える充電・保管方法
発火確率を直接コントロールすることはできませんが、危険な条件を減らすことはできます。
難しいことをする必要はありません。「熱をこもらせない」「強い衝撃を与えない」「異常を放置しない」の3つだけでも、使い方はかなり変わります。
充電は目の届く安全な場所で行う
- 机など安定した場所に置く
- 紙、布、衣類など燃えやすいものから離す
- 布団やバッグで覆わない
- 就寝中・外出中など異常に気づけない状況を避ける
- 充電中はときどき本体の状態を確認する
- 以前より明らかに熱くなったら充電を止める
スマートフォンを使いながらモバイルバッテリーから充電する場合は、スマホ側とバッテリー側の両方が発熱することがあります。
充電しながらスマートフォンを使う場合の注意点は、モバイルバッテリーを充電しながら使うのは危険?寿命も解説でも整理しています。
ケーブルとコネクタもチェックする
モバイルバッテリー本体だけ正常でも、ケーブルやコネクタ側に問題があれば充電トラブルにつながります。
- 被覆が破れている
- 端子が曲がっている
- 差し込んでもグラグラする
- コネクタだけ異常に熱くなる
- 端子周辺が変色している
こうした状態なら、「まだ充電できるから」と使い切ろうとせず交換したほうが安心です。
USB-Cケーブルを交換するなら
ケーブルを買うときは価格だけでなく、必要な充電出力に対応しているか、製品仕様が明確かを確認してください。高出力対応だから安全というわけではありませんが、用途に合わない劣化ケーブルを使い続けるより、状態の良い適合品へ交換するほうが判断しやすいです。
使わない期間の保管方法も重要
モバイルバッテリーは、使っている時間より保管している時間のほうが長い人も多いですよね。
保管時も、直射日光、高温になる車内、暖房器具の近くなどは避けます。また、上から荷物が落ちたり、重いものに挟まれたりしない場所を選んでください。
長期間使わない場合の残量や保管条件については、製品ごとの取扱説明書を優先してください。
保管場所や捨て時までまとめて確認したい場合は、モバイルバッテリーを使わない時の保管と捨て方も参考になります。
USB-Cの逆充電と異常発熱は分けて考える
USB-C同士で接続したときに、スマートフォンからモバイルバッテリー側へ電気が流れる「逆充電」が起きることがあります。
これはUSB-C機器の給電方向によって起きる場合があり、逆充電が起きたというだけで直ちに発火や故障と決めつける必要はありません。
ただし、接続した途端に異常に熱くなる、焦げ臭い、接続が不安定といった別の異常があるなら使用を中止してください。
スマホの残量が逆に減って困っている人は、モバイルバッテリーの逆充電とは?原因・直し方・防ぐ方法で切り分け方法を確認できます。
飛行機のモバイルバッテリールール|2026年4月24日から大きく変更
ここは古い記事やSNS情報と特に差が出る部分です。
2026年4月24日から、国内線および日本を発着する航空便でモバイルバッテリーのルールが追加されています。
国土交通省の案内を整理すると、現在の基本ルールは次の7点です。
| 項目 | 2026年4月24日以降 |
|---|---|
| 預け入れ | 禁止。必ず機内持ち込み |
| 容量 | 160Wh以下 |
| 個数 | モバイルバッテリーは1人2個まで |
| 短絡対策 | 端子保護、ケース・袋などで個別に保護 |
| 収納場所 | 座席上の収納棚へ入れない |
| モバイルバッテリー本体への充電 | 機内では禁止 |
| モバイルバッテリーからスマホ等への給電 | 機内では禁止 |
ここ、以前のルールを覚えている人ほど注意してください。
以前は「100Wh以下なら個数制限なし」という案内を目にすることがありましたが、2026年4月24日以降、モバイルバッテリーについては100Wh以下でも最大2個です。
また、機内ではモバイルバッテリーを使ってスマートフォンを充電することもできません。
座席にUSB端子やコンセントが用意されている場合は、航空会社の案内に従い、機内備え付けの電源から電子機器を直接充電します。
国土交通省の最新案内は、機内持込・お預け手荷物における危険物についてから確認できます。
航空会社によってさらに厳しい条件を設定している場合があるため、実際の搭乗前には利用する航空会社の公式サイトも確認してください。海外旅行では、乗り継ぎ先や運航会社によって扱いが異なる可能性もあります。

国内線・国際線の違い、ANAやJALで確認するときのポイントまで詳しく知りたい場合は、モバイルバッテリーの機内持ち込みルール|国内線・国際線で最新情報をまとめています。
Wh計算は「mAh÷1000×V」
飛行機で容量を確認するときに使われるのがWh(ワット時定格量)です。
計算式は次のとおりです。
Wh = 定格容量(mAh)× 定格電圧(V)÷ 1,000
たとえば3.7Vとして単純計算すると、次のようになります。
| 定格容量 | 3.7Vで計算した目安 | 2026年ルール上の容量範囲 |
|---|---|---|
| 5,000mAh | 約18.5Wh | 160Wh以下 |
| 10,000mAh | 約37Wh | 160Wh以下 |
| 20,000mAh | 約74Wh | 160Wh以下 |
| 27,000mAh | 約99.9Wh | 160Wh以下 |
| 30,000mAh | 約111Wh | 160Wh以下 |
ただし、この表は3.7Vで計算した例です。実際に搭乗するときは、モバイルバッテリー本体に表示されているWhや定格電圧を確認してください。
特に古いバッテリーで表示が消えている場合は要注意です。航空会社によってはWhを確認できないモバイルバッテリーを持ち込めない場合があります。
電圧とWhの関係がよく分からない場合は、モバイルバッテリーの電圧とは?選び方と急速充電の仕組みも参考にしてください。
モバイルバッテリーが発火・発煙したときはどうする?
ここは「もしもの話」ですが、知っているだけでも初動が変わります。
NITEと東京消防庁では、リチウムイオン電池から煙や炎、火花が激しく噴き出している場合は、まず近づかないよう案内しています。
- 煙・火花・炎が激しく出ている間は無理に近寄らない
- 周囲の人を離し、自分の安全を確保する
- 対応が難しい場合は安全な場所から119番通報する
- 安全に対応でき、火花などの勢いが収まった後は、公式案内に従い消火器や大量の水で消火する
- 消火後も再発火の可能性を考え、消防機関の指示に従う
「電気だから水をかけてはいけないのでは?」と思うかもしれませんが、東京消防庁やNITEは、小型のリチウムイオン電池について大量の水による消火・冷却を案内しています。
とはいえ、炎が大きい、周囲へ燃え移っている、近づくのが危険という状況で、自分で何とかしようとする必要はありません。身の安全が最優先です。
東京消防庁の案内は、住宅でも注意!リチウムイオン電池関連火災から確認できます。
モバイルバッテリーの回収・処分方法
モバイルバッテリーは「買うのは簡単だけど、捨て方が分からない」となりやすい製品です。
しかも、適当に一般ごみへ混ぜるのは避けなければいけません。
ごみ処理の過程では、収集・圧縮・破砕などで電池に強い力が加わることがあります。リチウムイオン電池が混入すると、そこで損傷して火災につながる可能性があります。
正常な状態なら自治体・メーカー・JBRCを確認
まず確認したいのは、自分が住んでいる自治体のルールです。
「自治体名+モバイルバッテリー+捨て方」などで検索し、必ず自治体公式ページを確認してください。
また、一般社団法人JBRCでは、対象となる小型充電式電池について協力店・協力自治体を検索できます。
ただし、JBRCの回収対象には条件があります。メーカー不明品や会員企業外品などは対象外になる場合があるので、「リサイクルマークがあるからどこでも入れられる」と思わないほうがいいです。
JBRCの回収拠点は、協力店・協力自治体検索で確認できます。
膨張・破損・水濡れ品は回収ボックスへ入れない
ここは特に大事です。
JBRCでは、破損した電池、膨張した電池、水濡れした電池などを回収対象外としています。
「家電量販店に回収ボックスがあったから入れておこう」は、異常のあるモバイルバッテリーでは避けてください。
自治体、メーカー、販売店などへ状態を伝え、「膨張している」「水没した」「破損している」と明確にしたうえで処分方法を確認するのが安全です。
処分時の端子は短絡しないよう保護する
正常な回収対象品を持ち運ぶ場合でも、金属端子同士が接触して短絡しないようにします。
JBRCも、金属端子部分が露出した電池については、テープなどで絶縁するよう案内しています。
絶縁テープは、こうした端子保護用に1本持っておくと使えます。
ガジェットポーチは正常な製品の整理用
正常な状態のモバイルバッテリーを持ち歩くなら、ケーブルや金属小物とごちゃ混ぜにしないため、ガジェットポーチで分けておく方法があります。
ただし、一般的なガジェットポーチは耐火ケースではありません。膨張・破損・水濡れなど異常のあるモバイルバッテリーを入れて保管する用途には使わないでください。
あくまで正常な製品の整理・持ち運び用です。
モバイルバッテリーの発火確率に関するよくある質問
まとめ|発火確率の数字より危険サインを見逃さないことが大切
モバイルバッテリーの発火確率は、「○万台に1台」「○%」と信頼できる形で断定できるものではありません。
だからといって、発火事故を必要以上に怖がる必要も、反対に気にしなくていいわけでもありません。
2026年7月にNITEが公表した最新資料では、2021〜2025年のリチウムイオン電池搭載製品の事故は2,140件。その中でモバイルバッテリーの事故が製品別で最も多く、2025年は192件まで増えています。
私なら、発火確率そのものより次のポイントを優先します。
- PSEマークだけでなく、メーカー・製造輸入事業者・型番を確認する
- 購入後もリコール情報を確認できる製品を選ぶ
- 充電は目の届く、熱がこもらない場所で行う
- 真夏の車内や直射日光の当たる場所へ放置しない
- 落下・圧迫など強い衝撃を避ける
- 膨張、変形、異常発熱、焦げ臭さなどを感じたらすぐ使用を中止する
- 水濡れしたものを安易に充電しない
- 飛行機では2026年4月24日以降の「160Wh以下・2個まで・機内使用禁止」を確認する
- 不要になったら自治体・メーカー・JBRCなどの正式な回収方法を確認する
今使っているモバイルバッテリーを一度手に取って、膨らみ、割れ、異常な熱、においがないか確認してみてください。
何も異常がなければ、必要以上に怖がる必要はありません。逆に少しでも「あれ?」と思う変化があるなら、「もう少し使ってから」ではなく、その時点で使用を止める。この判断がかなり大事だと思います。
制度、航空会社のルール、回収方法、製品のリコール状況は変更される可能性があります。最新情報は国土交通省、NITE、経済産業省、自治体、メーカー、利用する航空会社などの公式案内を確認してください。

